旗本
旗本(はたもと)とは
もともとは「旗のもとに仕える者」の意味で、主将の直属の精鋭部隊や近習の将兵を指す言葉である。戦場では主君の旗を守り、最も信頼される近衛的な役割を担った。
三国志における用例
吉川英治『三国志』では、各陣営の有力武将を「旗本」として描く場面が多い。孫堅の軍では程普やその部下が「旗本」と呼ばれ、董卓の陣では呂布や李儒らが「旗本の諸将」として記される。曹操の配下でも李典や曹洪が旗本として行動する描写があり、軍勢の中で最も主君に近い存在として描かれている。
言葉の背景
中国古代の軍制において、将軍の旗はその存在を示す象徴であり、その周囲を固める兵が「旗本」と呼ばれた。日本語では江戸時代の「旗本」と同じ語が用いられるが、三国志における「旗本」は「主将直属の親衛隊」に近い意味である。
物語上の役割
旗本は単なる部下ではなく、戦場の華となる精鋭であり、しばしば重要な一騎打ちや戦功を挙げる人物がそこから出ている。物語の緊張感を高めるため、旗本たちは主君を守る最後の砦として描かれることが多い。