珠
廃墟となった禁門の井戸から、計らずも玉璽を拾った孫堅は孫堅で、珠を抱くと、たちまち心変りして、袁紹と烈しい喧嘩別れをして、即日、これも本国へさして急いでしまったが、途上、荊州の劉表に遮られて、その軍隊はさんざんな傷手をうけ、身をもって黄河を遁れ渡った時は――その一舟中に生き残っていた者、わずかに、程普と黄蓋などの旗本六、七人に過ぎなかったという――後日の沙汰であった。 そんな折も折。 東郡の喬瑁と、刺史劉岱とが、またぞろ洛陽の陣中、兵糧米の借り貸しか何かのつまらないことから喧嘩を起し、劉岱...
群星の巻
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三国志