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火星と金星

一  曹操は、さらにこう奏上して、帝に誓った。 「生を国土にうけ、生を国恩に報ぜんとは、臣が日頃から抱いていた志です。今日、選ばれて、殿階の下に召され、大命を拝受するとは、本望これに越したことはありません。――不肖、旗下の精兵二...

本文 草莽の巻 三国志
3 days ago
奇舌学人

一  劉岱、王忠は、やがて許都へたち還ると、すぐ曹操にまみえて、こう伏答した。 「玄徳にはなんの野心もありません。ひたすら朝廷をうやまい、丞相にも服しております。のみならず土地の民望は篤く、よく将士を用い、敵のわれわれに対してす...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
覆面の船団

一  夜靄は深くたれこめていた。二十余艘の兵船は、おのおの、纜から纜を一聯に長くつなぎ合い、徐々と北方へ向って、遡航していた。 「とんと、分りません」 「何がです」 「この船団の目的と、先生の心持が」 「は、は、は。...

本文 三国志 赤壁の巻
3 days ago
報恩一隻手

一  顔良の疾駆するところ、草木もみな朱に伏した。  曹軍数万騎、猛者も多いが、ひとりとして当り得る者がない。 「見よ、見よ。すでに顔良一人のために、あのさまぞ。――だれか討ち取るものはいないか」  曹操は、本陣の高所に...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
玄徳冀州へ奔る

一  小沛の城は、いまや風前の燈火にも似ている。  そこに在る玄徳は、痛心を抱いて、対策に迫られている。  孫乾は冀州から帰ってきたものの、その報告は何のたのみにもならないものである。彼は明らかに周章していた。 「家兄。...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
敵中作敵

一  韓遂の幕舎へ、ふいに、曹操の使いが来た。 「はて。何か?」  使いのもたらした書面をひらいてみると曹操の直筆にちがいなく、こうしたためてある。 君ト予トハ元ヨリ仇デハナク、君ノ厳父ハ、予ノ先輩デアリ、長ジテハ、君ト知...

本文 望蜀の巻 三国志
3 days ago
恋の曹操

一  小沛、徐州の二城を、一戦のまに占領した曹操の勢いは、旭日のごときものがあった。  徐州には、玄徳麾下の簡雍、糜竺のふたりが守っていたが、城をすててどこかへ落ち去ってしまい、あとには陳大夫、陳登の父子が残っていて、内から城門...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
休戦

一  曹操は百戦練磨の人。孫権は体験少なく、ややもすれば、血気に陥る。  いまや、濡須の流域をさかいとして、魏の四十万、呉の六十万、ひとりも戦わざるなく、全面的な大激戦を現出したが、この、天候が呉に利さなかったといえ、呉は主将孫...

本文 三国志 遠南の巻
3 days ago
兵学談義

一  戒めなければならないのは味方同士の猜疑である。味方の中に知らず知らず敵を作ってしまう心なき業である。  が、その反間苦肉をほどこした曹操のほうからみれば、いまや彼の軍は、西涼の馬超軍に対して、完全なる、  敵中作敵 ...

本文 望蜀の巻 三国志
3 days ago
鵞毛の兵

一  いま漢中は掌のうちに収めたものの、曹操が本来の意慾は、多年南方に向って旺であったことはいうまでもない。  いわんや、呉といえば、あの赤壁の恨みが勃然とわいてくるにおいてはである。 「漢中の守りは、張郃、夏侯淵の両名で事...

本文 三国志 遠南の巻
3 days ago
不倶戴天

一  このとき丞相府には、荊州方面から重大な情報が入っていた。 「荊州の玄徳は、いよいよ蜀に攻め入りそうです。目下、彼の地では活溌な準備が公然と行われている」  曹操はかく聞いて胸をいためた。もし玄徳が蜀に入ったら、淵の龍が...

本文 望蜀の巻 三国志
3 days ago
建業会議

一  手術をおえて退がると、華陀はあらためて、次の日、関羽の容体を見舞いにきた。 「将軍。昨夜は如何でした」 「いや、ゆうべは熟睡した。今朝さめてみれば、痛みも忘れておる。御身は実に天下の名医だ」 「いや、てまえも随分今...

出師の巻 本文 三国志
3 days ago
邯鄲

一  冬十月の風とともに、 「曹操来る。曹軍来る」の声は、西平のほうから枯野を掃いて聞えてきた。  袁尚は愕いて、にわかに平原の囲みをとき、木の葉の如く鄴城へ退却しだした。  袁譚は城を出て、その後備えを追撃した。そして...

孔明の巻 本文 三国志
3 days ago
渭水を挟んで

一  曹操の本軍と、西涼の大兵とは、次の日、潼関の東方で、堂々対戦した。  曹軍は、三軍団にわかれ、曹操はその中央にあった。  彼が馬をすすめると、右翼の夏侯淵、左翼の曹仁は、共に早鉦を打ち鼓を鳴らして、その威風にさらに気勢...

本文 望蜀の巻 三国志
3 days ago
山谷笑う

一  八十余万と称えていた曹操の軍勢は、この一敗戦で、一夜に、三分の一以下になったという。  溺死した者、焼け死んだ者、矢にあたって斃れた者、また陸上でも、馬に踏まれ、槍に追われ、何しろ、山をなすばかりな死傷をおいて三江の要塞か...

本文 望蜀の巻 三国志
3 days ago
漢中併呑

一 (――急に、魏公が、あなたと夏侯惇のおふたりに内々密議を諮りたいとのお旨である。すぐ府堂までお越しありたい)  賈詡からこういう手紙が来た。使いをうけたのは、曹操の一族、曹仁である。 「なんだろう?」  曹仁は、洛中...

本文 三国志 遠南の巻
3 days ago
魚紋

一  玄徳の死は、影響するところ大きかった。蜀帝崩ず、と聞えて、誰よりも歓んだのは、魏帝曹丕で、 「この機会に大軍を派せば、一鼓して成都も陥すことができるのではないか」  と虎視眈々、群臣に諮ったが、賈詡は、 「孔明がお...

出師の巻 本文 三国志
3 days ago
霹靂車

一  呉を興した英主孫策を失って、呉は一たん喪色の底に沈んだが、そのため却って、若い孫権を中心に輔佐の人材があつまり、国防内政ともに、いちじるしく強化された。  国策の大方針として、まず河北の袁紹とは絶縁することになった。 ...

孔明の巻 本文 三国志
3 days ago
鬢糸の雪

一 「えっ、荊州が陥ちた?」  関平は戦う気も萎え、徐晃をすてて一散に引っ返した。混乱するあたまの中で、 「ほんとだろうか? まさか?」  と、わくわく思い迷った。  そして堰城近くまで駈けてくると、こはいかに城は濛...

出師の巻 本文 三国志
3 days ago
次男曹彰

一  横道から米倉山の一端へ出て、魏の損害をさらに大にしたものは、蜀の劉封と孟達であった。  これらの別働隊は、もちろん孔明のさしずによって、遠く迂回し、敵も味方も不測な地点から、黄忠と趙雲たちを扶けたものである。  それに...

本文 三国志 遠南の巻
3 days ago
燈花占

一  関羽が、顔良を討ってから、曹操が彼を重んじることも、また昨日の比ではない。 「何としても、関羽の身をわが帷幕から離すことはできない」  いよいよ誓って、彼の勲功を帝に奏し、わざわざ朝廷の鋳工に封侯の印を鋳させた。 ...

臣道の巻 本文 三国志
3 days ago
溯巻く黄河

一  槍の先に、何やら白い布をくくりつけ、それを振りながらまっしぐらに駈けてくる敵将を見、曹操の兵は、 「待てっ、何者だ」と、たちまち捕えて、姓名や目的を詰問した。 「わしは、曹丞相の旧友だ。南陽の許攸といえば、きっと覚えて...

孔明の巻 本文 三国志
3 days ago
遼西・遼東

一  いまや曹操の勢いは旭日の如きものがあった。  北は、北狄とよぶ蒙古に境し、東は、夷狄と称する熱河の山東方面に隣するまで――旧袁紹治下の全土を完全に把握してしまった。彼らしい新味ある施政と威令とは、沈澱久しかった旧態を一掃し...

孔明の巻 本文 三国志
3 days ago
荊州変貌

一  呉は大きな宿望の一つをここに遂げた。荊州を版図に加えることは実に劉表が亡んで以来の積年の望みだった。孫権の満悦、呉軍全体の得意、思うべしである。  陸口の陸遜も、やがて祝賀をのべにこれへ来た。その折、列座の中で呂蒙は、 ...

出師の巻 本文 三国志
3 days ago
洛陽に生色還る

一  司馬懿仲達軍のこのときの行軍は、二日行程の道のりを一日に進んで行ったというから、何にしても非常に迅速なものだったにちがいない。  しかも仲達は、これに先だって、参軍の梁畿という者に命じ、数多の第五部隊を用いて、新城付近へ潜...

五丈原の巻 本文 三国志
3 days ago