定州(ていしゅう)とは 定州は、中国河北省中部に位置する都市で、現在の河北省定州市にあたる。古代中国では中山国の故地であり、後漢以降は冀州の重要拠点として発展した。 歴史的背景 戦国時代には中山国の都が置かれ、その後...
劉備玄徳(りゅうび げんとく)とは 劉備玄徳は、三国志の主要人物の一人であり、蜀漢の建国者で初代皇帝(昭烈帝)となった人物である。字は玄徳。後漢の宗室の末裔を自称し、仁義を重んじた姿勢から「仁君」として広く知られる。吉川英治『...
盧植(ろしょく)とは 盧植は、後漢末期の儒学者であり、政治家・武将でもあった人物である。三国志においては、劉備の師として知られ、彼の若き日々に大きな影響を与えたことで重要な存在となっている。 生涯 盧植(紀元?〜19...
鄒靖(すうせい)とは 鄒靖は、後漢末期に黄巾賊討伐に派遣された将軍の一人である。正史『三国志』にも登場する歴史上の人物で、吉川英治『三国志』でも劉備の若き頃のエピソードで描かれている。 生涯 鄒靖は後漢の将軍で、黄巾...
張世平(ちょうせいへい)とは 張世平は『三国志演義』や吉川英治『三国志』に登場する人物で、劉備の初期を支えた豪商のひとりである。酒や塩の取引を生業とする富豪で、劉備の人柄に感銘を受けて資金を援助したことから、劉備が義勇軍を組織...
蘇双(そそう)とは 蘇双は、吉川英治『三国志』や『三国志演義』に登場する人物で、劉備が黄巾賊討伐のため義勇兵を募った際に名乗り出た若者の一人として描かれる。史実の『三国志』(陳寿著)にはほとんど記録が見られず、文学的創作によっ...
楼桑村(ろうそうそん)とは 楼桑村は、三国志の物語の冒頭に登場する村で、重要な場面の舞台となります。この地は、後に魏・呉・蜀と割拠する英雄たちが台頭する激動の時代、まだ世の中が平穏だった初期の田舎村のひとつです。 三国志でこの村が...
一 遷都以後、日を経るに従って、長安の都は、おいおいに王城街の繁華を呈し、秩序も大いにあらたまって来た。 董卓の豪勢なることは、ここへ遷ってからも、相変らずだった。 彼は、天子を擁して、天子の後見をもって任じ、位は諸大...
一 「袁術先生、予のてがみを読んで、どんな顔をしたろう」 淮南の使いを追い返したあとで、孫策はひとりおかしがっていた。 しかし、また一方、 「かならず怒り立って、攻め襲うて来るにちがいない」 とも思われたので、...
一 蟠桃河の水は紅くなった。両岸の桃園は紅霞をひき、夜は眉のような月が香った。 けれど、その水にも、詩を詠む人を乗せた一艘の舟もないし、杖をひいて逍遥する雅人の影もなかった。 「おっ母さん、行ってきますよ」 「ああ、...
涿県(たくけん)とは、中国の河北省中南部に位置する歴史的な地名である。三国志の物語が始まる重要な舞台となった場所であり、特に劉備玄徳の出生地として有名である。劉備はこの涿県の楼桑村で代々農を営む家に生まれ、その出自には諸葛亮の後に語る...
一 いっさんに馳けた玄徳らは、ひとまず私宅に帰って、私信や文書の反故などみな焼きすて、その夜のうちに、この地を退去すべくあわただしい身支度にかかった。 官を捨てて野に去ろうとなると、これは張飛も大賛成で、わずかの手兵や召使い...
一 閑話休題―― 千七百年前の支那にも今日の中国が見られ、現代の中国にも三国時代の支那がしばしば眺められる。 戦乱は古今を通じて、支那歴史をつらぬく黄河の流れであり長江の波濤である。何の宿命かこの国の大陸には数千年のあ...
一 孔明の使命はまず成功したといってよい。呉の出師は思いどおり実現された。孔明はあらためて孫権に暇を告げ、その日、すこし遅れて一艘の軍船に身を託していた。 同舟の人々は、みな前線におもむく将士である。中に、程普、魯粛の二将も...
一 魏の勢力が、全面的に後退したあとは、当然、玄徳の蜀軍が、この地方を風靡した。 上庸も陥ち、金城も降った。 申耽、申儀などという旧漢中の豪将たちも、 「いまは誰のために戦わん」といって、みな蜀軍の麾下へ、降人とな...
一 ――一方。 洛陽の焦土に残った諸侯たちの動静はどうかというに。 ここはまだ濛々と余燼のけむりに満ちている。 七日七夜も焼けつづけたが、なお大地は冷めなかった。 諸侯の兵は、思い思いに陣取って消火に努めて...
一 孔明の家、諸葛氏の子弟や一族は、のちに三国の蜀、呉、魏――それぞれの国にわかれて、おのおの重要な地位をしめ、また時代の一方をうごかしている関係上、ここでまず諸葛家の人々と、孔明そのものの為人を知っておくのも、決してむだではなか...
一 さて、その後。 ――焦土の洛陽に止まるも是非なしと、諸侯の兵も、ぞくぞく本国へ帰った。 袁紹も、兵馬をまとめて一時、河内郡(河南省・懐慶)へ移ったが、大兵を擁していることとて、立ちどころに、兵糧に窮してしまった。 ...
一 澄み暮れてゆく夕空の無辺は、天地の大と悠久を思わせる。白い星、淡い夕月――玄徳は黙々と広い野をひとりさまよってゆく。 「ああ、自分も早、四十七歳となるのに、この孤影、いつまで無為飄々たるのか」 ふと、駒を止めた。 ...
一 十年語り合っても理解し得ない人と人もあるし、一夕の間に百年の知己となる人と人もある。 玄徳と孔明とは、お互いに、一見旧知のごとき情を抱いた。いわゆる意気相許したというものであろう。 孔明は、やがて云った。 「も...
一 それより前に、関羽は、玄徳の書をたずさえて、幽州涿郡(河北省・涿県)の大守劉焉のもとへ使いしていた。 太守劉焉は、何事かと、関羽を城館に入れて、庁堂で接見した。 関羽は、礼をほどこして後、 「太守には今、士を四...
一 城兵の士気は甦った。 孤立無援の中に、苦闘していた城兵は、思わぬ劉玄徳の来援に、幾たびも歓呼をあげてふるった。 老太守の陶謙は、「あの声を聞いて下さい」と、歓びにふるえながら、玄徳を上座に直すと、直ちに太守の佩印を...
一 徐庶に別れて後、玄徳は一時、なんとなく空虚だった。 茫然と、幾日かを過したが、 「そうだ。孔明。――彼が別れる際に云いのこした孔明を訪ねてみよう」 と、側臣を集めて、急に、そのことについて、人々の意見を徴してい...
一 桃園へ行ってみると、関羽と張飛のふたりは、近所の男を雇ってきて、園内の中央に、もう祭壇を作っていた。 壇の四方には、笹竹を建て、清縄をめぐらして金紙銀箋の華をつらね、土製の白馬を贄にして天を祭り、烏牛を屠ったことにして、...
一 穴を出ない虎は狩れない。 曹操は、あらゆる策をめぐらして、呂布へ挑んだが、 「もうその策には乗らない」と、彼は容易に、濮陽から出なかった。 そのくせ、前線と前線との、偵察兵や小部隊は日々夜々小ぜりあいをくり返し...