益州
益州(えきしゅう)とは、古代中国における州(行政区域)の一つで、三国志の時代においては、現在の四川省を中心とした地域に該当します。
この地は、蜀(しょく)、すなわち後の蜀漢(しょくかん)が建国された地でもあり、諸葛亮や劉備といった有名な英雄たちが拠点を置き、数々の戦いが繰り広げられた舞台です。古来より金銀や絹織物、塩、穀物などの産出で栄え、交通の要所であることから、戦略的にも経済的にも非常に重要視されていました。
益州の歴史において特に知られているのは、劉備が荊州(けいしゅう)から移り住み、劉璋(りゅうしょう)を追い出して自ら益州牧となり、蜀漢の基礎を築いたというエピソードです。これによって、益州は蜀漢の本拠地となり、諸葛亮など数々の名臣・武将たちもこの地に集います。
地理的には、険しい山岳地帯に囲まれた天然の要害でもあったため、魏や呉と並び三国のひとつとして独立性を保ち続けることができました。また、後の蜀漢滅亡の際には、この益州の堅固さが長期抵抗の要因ともなります。
益州にゆかりのある主要な人物として、劉備、諸葛亮、張飛、関羽、馬超、黄忠(こうちゅう)らが挙げられ、彼らの人間模様や群雄割拠のドラマが繰り広げられます。益州という舞台設定は、三国志の物語に豊潤な色彩と奥行きを与えている重要な地名です。