太医吉平
功臣閣の秘宮を閉じて、帝御みずからの血をもって書かれた秘勅をうけてから日夜、肝胆をくだいて、 。「いかにして、曹操をころすべきか。どうしたら武家専横の相府をのぞいて、王政をいにしえに回復できようか」と、寝食もわすれて、そればかりに腐心していたが、月日はいたずらに過ぎ、頼みにしていた玄徳も都を去ってしまうし、馬騰も西涼へ帰ってしまった。 その後、一味の王子服などとも、ひそかに密会はかさねているが、何分にも実力がまるでなかった。公卿の一部でも、相府の武権派に対して、明らかに反感をいだいている...
臣道の巻
本文
三国志