樊稠

樊稠(はんちゅう)とは、董卓の死後に台頭した李傕郭汜張済らと並ぶ「四将」の一人で、長安を制圧したのち右将軍に任ぜられた武将です。やがて宴席で李傕に「裏切者」と断じられ、密告と疑心暗鬼の果てにその場で斬られます 。
 
生涯
董卓討滅後、西涼方の敗残を糾合して挙兵した四将の一員として長安へ迫り、王允政権を崩して実権を握ると、李傕は車騎将軍、郭汜は後将軍、樊稠は右将軍、張済は驃騎将軍に任じられました 。その後、馬騰韓遂の大軍が長安を脅かすと、守勢一本で疲弊を待つ賈詡の策に従い、反撃で大勝しますが、退く乱軍の中で樊稠は旧知の韓遂を追い詰め、同郷のよしみを叫ばれて人情にほだされ、追撃の手をゆるめてしまいます 。翌日、勝利の宴で李傕が「故意に敵を助けた罪」と断じ、樊稠の首をはね、軍は張済に引き継がれました 。
 
人物
樊稠は、宮門を囲んだ際に天子弑逆の暴議へ傾く軍を諫め、まずは帝権を徐々に削ぐべしと主張するなど、血気だけでなく節度を示す人物として描かれます 。一方で戦場では旧誼に心を動かされる人情味があり、それが李傕の猜疑を招き最期につながったと物語られます 。
 
関連する人物
李傕は同僚にして最期の刃を振るった張本人で、甥の李別が密告役を務めました 。郭汜張済は四将の仲間で、とくに張済は樊稠の軍を引き継ぎ、長安攻略ではともに別働で城下へ殺到しています 。韓遂并州出の旧知で、長安合戦の敗走中に樊稠に命を助けられました 。
 
有名なエピソード
呂布を山中で釘づけにする間に、張済とともに迂回して長安へ殺到した機動は、四将の中での役割を鮮明にする場面です 。そして勝宴での電撃的な斬殺は、李傕陣営の疑心と権力闘争の苛烈さを印象づける名シーンとして描かれます 。
 
吉川英治三国志での扱いと、史実と違う点
吉川英治版では、樊稠は「情」と「猜疑」の対照を際立たせる駒として描かれ、韓遂への旧誼や宮中前での諫言、そして宴席での最期までが劇的連鎖として配されています 。史書の叙述に比べて、誰がどのような動機で手を下したかが小説的に整理・強調されており、人物像の陰影が深まる構成になっています。
「樊稠」の基本情報
総登場回数
16回
活動期間
1巻にわたって登場
初回登場
群星の巻
最終登場
群星の巻
最も活躍した巻
群星の巻 (16回登場)
「樊稠」登場回数
合計: 16回
0 4 8 12 16 0 桃園の巻 16 群星の巻 0 草莽の巻 0 臣道の巻 0 孔明の巻 0 赤壁の巻 0 望蜀の巻 0 図南の巻 0 出師の巻 0 五丈原の巻
最終更新日: 28日前