朝廟
冒頭
朝廟(ちょうびょう)とは、君主が臣下と政務を議する朝廷の場を、廟堂の語感をまじえて指す言い方です。吉川英治『三国志』では、政治権力が集まる中枢としての朝廷・公卿百官の世界を意味する語として用いられます 。
概要
作中での朝廟は、天子を戴く国家の公式な政務空間を指し、そこに列する官僚機構や儀礼秩序を含む場合があります。献帝が「政治は朝廟で議するも、令は相府に左右される」と述べ、名目的な朝廷の審議と、実際の命令権の所在が乖離している状況を表す文脈で現れます 。
意味
語としては「朝(朝廷・朝会)」と「廟(廟堂・宗廟を中心とする国家の正統性)」が重なり、朝廷を単なる役所ではなく、王朝の正統性と結びついた政治の場として言い表す働きをします。作中でも、朝廷内部が権勢により「腐蝕」される対象として描かれ、制度・人心の場としての広がりを伴います 。
用例
長安で李傕・郭汜らが専横した時期に、馬騰・韓遂が「朝廟の賊を掃討せん」と掲げて出兵するなど、朝廟は国家中枢を脅かす敵を指弾する基準としても使われます 。また蜀では、孔明が「明朝早天、府を出られて、朝廟に会し、諸員と議せん」とされ、朝廟が政務協議の公的な会合場所を指す語としても現れます 。
史実との違い