翡翠門
冒頭
概要
歴史
後漢末、十常侍の勢力が宮中で事件を起こした際、張譲・段珪らは新帝(少帝)と何太后、協皇子(のちの陳留王)を伴い、北宮の翡翠門から宮城を離脱しようとしました。これを中郎将の盧植が追い、何太后のみが引き留められる展開につながります。
関連人物
史実との違い
さすがに古い伝統の都だけに、物資は富み、文化は絢爛だった。佳人貴顕たちの往来は目を奪うばかり美しい。帝城は金壁にかこまれ、瑠璃の瓦を重ね、百官の驢車は、翡翠門に花のよどむような雑鬧を呈している。天下のどこに一人の飢民でもあるか、今の時代を乱兆と悲しむいわれがあるのか、この殷賑に立って、旺なる夕べの楽音を耳にし、万斛の油が一夜にともされるという騒曲の灯の、宵早き有様を眺むれば、むしろ、世を憂え嘆く者のことばが不思議なくらいである。 けれど。
天日も晦く、地は燃ゆる。 女人たちの棲む後宮の悲鳴は、雲にこだまし地底まで届くようだった。 その中を、十常侍一派の張譲、段珪のふたりは、新帝と何太后と、新帝の弟にあたる協皇子――帝が即位してからは、陳留王といわれている――の三人を黒煙のうちから救け出して、北宮翡翠門からいち早く逃げ出す準備をしていた。 ところへ。 戈を引っさげ、身を鎧い、悍馬に泡を噛ませてきた一老将がある。