千翻の旗、錦繍の幡旗、さっと隊を開いたかと見れば駿馬は龍爪を掻いて、堂々たる鞍上の一偉夫を、袁紹の前へと馳け寄せてきた。 これなん先頃から洛陽郊外の澠池に兵馬を駐めたまま、何進が再三召し呼んでも動かなかった惑星の人――西涼の刺史董卓であった。 董卓、字は仲穎、隴西臨洮(甘粛省岷県)の生れである。身長八尺、腰の太さ十囲という。肉脂豊重、眼細く、豺智の光り針がごとく人を刺す。
馬超は、かえって、楊阜を助けたばかりか、用いて参事となし、冀城の守りをあずけた。 楊阜は心のうちに深く期すものがあるので、表面は従っていたが、ある時、馬超に告げて、数日の休暇を願った。「わたくしの妻は、もうふた月も前に、故郷の臨洮で死にましたが、このたびの戦乱で、まだその葬いにも行っておりません。郷土の縁者や朋友のてまえ、一度は行ってこなければ悪いのですが」 。 馬超は即座に、 。